愛でる木を見つけた〜手と愛情をかける手仕事
アトリエには、チェストやデスクなどといった大型の家具の他にも、デスク周りの商品やダイニングキッチン用品など、いずれも中西さんらしい丁寧に時間をかけられて作られたであろう商品が大切に展示されています。
一つ一つ丁寧に作られた木の製品。端材で作られた小物たち。
細かいこだわりが見える優しい雰囲気のチェア。
家具を作った時に残る端材を必ず利用するという寄木の綺麗なトレイなど
木の肌触りを感じて欲しい端材で作った積み木。一つ一つ違う形の積み木にも優しさがいっぱい
木の香りが漂うアトリエには、中西さんの作りたいという思いだけで作られた逸品があり、目移りをしてしまいます。中西さんの代表作の木のハンドバックやアタッシュケースも。
本体を木で、持ち手や蓋部分は革で、craftman Daidaiさんの代表作の木のバッグたち
最近、手に取った人は必ず買われていく商品があるということで、見せてもらった「愛でる木」と書かれた商品。
「愛でる木」木の素材も大きさも厚さも様々
craftsman Daidai 中西さん。いつも柔和な笑顔で迎えてくださいます。
大きさも素材も重さもバラバラ、形状は丸く、一見鍋敷き?かな?と思わせる形。
「これは何をするものですか?」との問いに
「愛でます!」
愛でるって、と恐る恐る1つを手に取って両手の上に置きました。つるっとした肌触りの木の優しい柔らかさ、ひんやりした表面に自分の手の温度が映っていくように、一体化する感じ。
十数個をかわるがわる持ち上げ、触り確かめ、その瞬間には、すでに自分の愛でる木を探していました。何回も何回も触っては置き、触っては置きを繰り返し、
私の選んだ一つはウォールナットの茶色味の深い、小さめのしっかり年輪が刻まれた一つ。小さい私の手にもしっくり馴染みます。たとえ、これから傷がついたとしても、傷さえも愛でることができそうな一つです。
私の選んだ愛でる木。ウォールナットの濃いめの色に深みのある模様が気に入っています。
実は、最初、花瓶の下に引く花台として作られた商品で、その時は全く売れずにいたそうです。それで中西さん自身が発案、愛でるためだけの木にしたらどうだろうかと、愛でる木と命名!今では触れば売れるヒット商品だそうです。
「どのような方たちが買われていくんです?」
「癒しを求めてる人とか、疲れている人とか、色々いろんな人が多いかな〜。年齢も様々だけど。五十嵐さん世代の人が多いかもしれない。」
私が癒しを求めているかどうかはさておき、少し、愛でるについて調べてみました。私たちの世代では、なかなか自分では言わない大切そうな優しいワードの愛でる。「愛でる」対象は、観葉植物や花の咲く植物、犬や猫などのペット、そして、かわいい子供たち。または、推しのグッズなども。本来の意味は、その美しさやかわいさに惚れ惚れし、可愛がるとあります。しかし、私は、その背景にある、自分自身の喜びのためにということが大切なのではないかと思いました。優しい眼差しで見守る、愛する背景に、自分の喜び、満足感も伴うのです。まさに、この「木」には、他の人にはわからない、わからないからこそいい、どのように使っても構わないという要素が思いっきり詰まっているような気がします。
嬉しそうに愛でる木を持ち、車に乗り込む私に
「あ、五十嵐さん、そういえば、○○さんも先日、愛でる木を買われていきましたよ。」
まさかの高校時代から今までずっと仲良くしている友人の名前がでてくるとは!!笑
「愛でる」もの。中西さんが作るこの木も、積み木も、カットボードも。そして、たくさんの方々が手で丁寧に時間をかけ作られたエーデパの商品も全て誰かの愛でるものになっているような気がします。
曽明漆器さんの器に植えたジュエルオーキッドを「愛でる木」の上に。愛でるものたち
富山県高崎市(鋳物)で見つけたウサギもちょこんと乗ります
【craftsman Daidai】
中西朝一さん
先祖代々受け継がれるような、永く愛され使い続けてもらえる家具を作りたいという思いから名付けました。無垢材にこだわり、飽きのこないシンプルなデザインを常に心がけています。
〒916-0272 福井県丹生郡越前町樫津51-2
https://www.cmdd.jp/
** ** ** ** ** ** ** ** ** **
五十嵐郁子
1975年生。福井県越前市出身。東京在住。エーデパディレクター。福井県越前市生まれ。日本女子大学卒。大学生の2人の娘の母。東京福井県人会理事。
** ** ** ** ** ** ** ** ** **