作家さんと対談 ファニチャーホリック山口代表

今回の作家さんを訪ねては新春スペシャルといたしまして、新しく出店されるファニチャーホリック山口代表と弊社五十嵐社長の対談をお届けいたします!

機械設計から家具職人へ。自分の「手」でモノを生み出したい。

五十嵐社長(以下五十嵐)/ 山口さんはサラリーマンから家具職人になられたそうですが、きっかけは何だったですか?

山口代表(以下山口)/ 物心ついたときからとにかく手で物を作るのが好きでした。いろんな造作をしたり。それが高じて大学も機械設計を学び、就職も機械設計の仕事に就きました。日本で一番大きなクレーンの製造を手掛け、楽しかったのですが「自分の手がまったく汚れず、自分の手で生み出す感覚が得られない」ことに何か違うと違和感があって。サラリーマンになったからこそ、気が付いただと思いますが。そんな時、知り合った家具職人さんの話をお聞きしているうちになんていい仕事なんだろうと。

材料を調達し、お客さんから依頼を受けて、図面を描いて作って、お客さんに渡して、お金を頂いて評価を頂く自分の手を広げた範囲ですべてがおさまる。自分ひとりでできることに魅かれましたね。

五十嵐 / 同じモノづくりでもその携わり方が違っていたですね。

山口  / はい。29歳で会社を辞めて、家具職人の世界に飛び込みました。木ってアバウトな材料でんなところも自分に合っていただと思います。上場企業でしたし大学まで出してもらって、両親や家族には迷惑を掛けましたが。縁あって県外で修行させていただいて福井で開業しました。

五十嵐 / ファニチャーホリックさんと言えば「キャリーバック」ですね。最初に出会ったとき型にはまらずいろんな展開をされていると刺激を受けました。

山口  / 僕は「七人の工芸侍」という団体にも属していますが、その第1回目のオファーが、百貨店からの「工芸と最新ファッションを融合したファッションショーのショーアイテムだったんです。そこで、越前箪笥でかばんやキャリーバックでできないかと。

五十嵐 / 型を破るお題があったのですねでも発想が豊かですね。

山口 / これまでも発想をした人はいたと思いますが商売を目的にしてこういうものは作らないと思います。ショーで楽しんでもらうことが目的でしたし広い意味で越前箪笥を若い人に知ってもらいたくて、を使って金具もピンクしましたすごく注目されまして、ショーの後、フランスにも行きましたが、写真撮られまくりでした(笑)この華やかな桜色は従来だと濃い目の色しかなく、色選び難航しました。ふと車の色にないかと思いついて車の展示場やカタログなどを見てイメージするピンクを探しました。

 

五十嵐 / オーダーもできるですよね。金具のデザインクラシカルなレース柄変えたり、帯の部分をアクシーズファム(自社ブランド)の余り生地を利用したりカラーリングも車の色とか指定をすることもできるですか?

山口  / レース柄面白いですね!金具のデザインはいろいろできますし、カラーリングも車の塗装番号などを調べれば可能です。お客様の好みにお答えできるのがオーダーの強です。帯の部分に布地を使う事もできますいっしょに作っていく過程もまた楽しいです

五十嵐 / アクシーズファム仕様をぜひ作ってみたいですね。このキャリーバックは、1月29日30日に開催予定の東京イベントにも実物が登場しますね。来場者の方もオーダーも可能ということですよね。

山口  / もちろんできます。オーダーもご希望の内容によって仕上がり期間は変わりますが。 

全国に数ある箪笥の産地の中で、越前箪笥が一番かっこいい。

五十嵐 / 山口さんから見て伝統工芸の越前箪笥はどのように映っておられるのですか?

 /  かっこいいですね。全国に同じよう産地がありますが、その中でも一番かっこいい。金具の意匠だったり、漆の塗りだったりそこに憧れている部分があるので、残していきたいですね。だからまずは職人さんが生き残道筋を作っていかないといけないと思っていますせっかくこの世界に携われることできたので。伝統あるものを継がして頂いているので、そこはきっちりと繋いでいきたいですね

五十嵐 / 山口さんの後はどう考えていらしゃるのですか?

山口  / 福井県の後継者育成事業の職人塾の制度を使って、岐阜県から若手来てくれてます。越前箪笥が作りたかったけど、つてもなかったみたいです。でも、越前箪笥資料館にも見学に来ていたみたいで。福井県は全国的にも珍しく伝統工芸に手厚い補助金の制度などがあってすごく助かります今、雇いたくてもなかなか雇えない状況で、そこを県や市が補助してもらえるのは、すごく有難いですね。

異業種の方と交流をすることで、増えていく「自分の引き出し

五十嵐 / 常に新しいチャレンジをされていますが、最近はどんな開発されているですか?

山口  / 越前箪笥を現代風にアレンジしたもの、ワインボトル入れを作りました。桐は保温性が高いので、近くであればそのまま持っていけます。着物のイベントに参加する知人がぜひ使いたいと、大野の街歩きに持っていかれて持っていると「何それ!」すごく注目を浴びたそうです。今後は、ガラスだったり木だったりグラスを作家さんとコラボしたりしたいですね。

五十嵐 / 作家さん同士でいろんな繋がりがあるんですか?

山口  / 「LEXUS NEW TAKUMI PROJECT」というクリエーターを応援するプロジェクト2016年福井の代表に選んで頂けましその世代で50人位のクリエーターが選出されて、今、150人位のクリエーター集団になっています。そこでモノづくりの面白いネットワークができて、何でも作れます。異業種も多く、インスピレションもきます何より刺激を受けています。

五十嵐 / それは素晴らしいネットワークですね。異業種の方との交流やコラボレーションは、どのようにされているんですか?

山口 / そもそも自分1人では何もできないと思っています。今までの経験といっても、サラリーマンを経て、まだモノづくりを突き詰めていないですただ、極めていないからこそ、いろんな方揉まれたり、異業種の方と話をさせて頂く事で自分の引き出しが増える気がします

異業種の方との交流は、「基本は自分たちが楽しいこと」です。「こんなんできたら、いいやん」それ、めっちゃ面白いやん」とか、お互いがってきたときが発火点になります。あと自分をさらけだして、相手といろいろ話していくビジネス、ビジネスではなく、お金は置いておいて、それより「楽しいことを企画しない?」と。まわりにそういう人が多いのがとても有難いです。

五十嵐 / 「自分をさらけだすこと」、とても共感できますね。自分が自分が」と思っているときは、うまく行かないですよね。周りが力を発揮できなかったり。山口さんは、自分をさらけ出して楽しんでいるし、いい意味で肩の力が抜けていますよね。

山口 /もちろん、ビジネス的にもどこかで落としどころはあります。モノを作って売るというのは、本当に大変です。大企業が大々的プロモーションをしても売れない事あるで、僕らが成功することはさらに難しい。だから、コラボレーションした相手が満足したモノづくりができて楽しかったら納得できます自分が欲しいと思うものを共感してくれる人がいてくれれば売れるということですから経営者としては大失敗野郎だと思いますでも、ビジネスだけを考えいると限界点がありますよねモノづくりを生業しようと思った時点で、自分にはそういった生き方しかできないと思いました。

五十嵐 / 僕らも100店舗店を出すこと、そして売上、売上となりがちでした。でもちょっと違うよね?」。大切なのはお客様楽しんで頂くことそして、自分たちも楽しむとこと。肩に力が入っているとお客様にも伝わってしまうんですよね。

 

コラボレーションできそうなイメージがふつふつと湧いてくる。

五十嵐 / 今回、出店して頂くなかでエーデパに期待していることはありますか?

山口 / 県内には、まだまだ知らない作家さんがたくさんいらっしゃるので、興味津々です。この人とコラボレーションできそうとかふつふつとイメージが涌いてくる場は久しぶりですので、とても楽しみです。

五十嵐 / すでにコラボレーションされていらっしゃる企業さんもありますし、オンラインでの出店者会議も実施しています。ぜひ繋がってほしいですね。先日、東京で開催された「木育」イベントも子ども達も夢中になって大好評だったとか。それも楽しそうですね。

山口  / そうですね。無心で作ることの楽しさが伝わったらいいなと思いました初めてのこぎりを使って木を切るとき、自分の中で何かが芽吹くというか。僕はモノを作るときにアドレナリンがでる感じがします。ずっと集中できるというか。お父さんやお母さん見せるとびっくりするじゃないかなとか。そのワクワク感で作る状態が、今も続いています。クラフトジャンキーですね。まさに、ファニチャーホリックというか。もちろん、自分だけじゃなく、使って頂ける方にも中毒になるくらい愛して頂けたらという願いもあります(笑)

 

 

 

山口(やまぐち ゆうこう)
ファニチャーホリック代表


家具職人 1級家具製作技能士
越前市生まれ。大学卒業後、建設機械メーカー、㈱タダノ社入社。幼少からモノ作りが好きで、

一念発起、会社を辞めタンス職人を目指し、専門学校に。卒業後、家具メーカーを経て独立、平成24年ファニチャーホリックを設立。県内外のクラフトマーケットや全国の百貨店催事などに出店。福井の伝統工芸「福井七人の工芸侍」に所属。http://fukui7samurai.wix.com/7samurai#!plan/cx3a

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