株式会社エコファームみかた
代表取締役社長 新屋 明さん
BENICHUを世界に通用する福井ブランドにしていきたい。
福井が誇る紅映梅。美しい紅色のイメージをそのまま商品名に採用。
福井梅(紅映(べにさし)、剣先(けんさき)、新平太夫(しんへいだゆう)、福太夫(ふくだゆう))の産地として知られる若狭町。それと同じくらい広く親しまれているのが、『エコファームみかた』の看板商品である梅酒ブランド『BENICHU(べにちゅう)』です。「べにちゅう」と発声してみると何だかかわいらしく、一度聞いたら耳に残る音、さらにリップマークや瓶の色、形も独特です。その商品誕生の背景を同社社長の新屋 明さんにお聞きしました。
「最初は、梅の酎ハイで“梅酎(うめちゅう)”でした。しかし、梅酒大会出品直前に他メーカーのネーミングとの酷似がわかり、断念。急きょ、BENICHUとなりました。
BENI(べに)は紅映梅の“紅”、紅映梅の陽が当たる部分が紅をさしたように綺麗な色になることもイメージして、紅の酎ハイでBENICHU(べにちゅう)。そしてロゴマークは、紅をさす唇、リップマーク。今となっては、梅酎よりBENICHUで良かったと実感しています」
ちなみにBENICHUの原料である紅映梅は全国収穫量1%の希少品種。果肉歩合が高く、果肉・果皮とも柔らかい繊維質が少ないのが特徴です。また、アミノ酸やカルシウム、マグネシウム、カリウム等のミネラルが多く、酸が少なめで味がまろやかでもあるのです。
“甘くない梅酒”という新ジャンルで躍進し、コロナ禍の宅飲みでさらに需要増。
BENICHUのコンセプトはズバリ、“甘くない梅酒”。新屋社長曰く「男性にも飲んでほしい梅酒」とのこと。でも発売した2000年は全くの逆。梅酒は甘く、主に女性に好まれるお酒として親しまれていたのです。
「甘くない梅酒を作ったものの、実は消費者に受け入れられるか不安で一杯でした。でも、以前から交流のあったソムリエで唎き酒師でもある友田晶子さん(福井県出身)の後押しがあり、新ジャンルのお酒として販売を決めました」
無糖と微糖。どちらも今までにない味わいに、新屋社長の狙い通り、男性ファンが増加しています。
現在、エードットデパートメントで販売中の梅酒アイテムは、20°(微糖)と38°(無糖)、レモングラス梅酒、BENICHUハイボール。中でも38°(無糖)には思い入れが強いとか。
「無糖なので梅エキス抽出にアルコールを使うのですが、高い度数でないと梅エキスが出てきません。そこでアルコール度数40%程度にしようと考えましたが、40%はウイスキーと同じ。それ前後の一番美味しいと思うバランスの38%に決めました。38は“サバ”と読めますし、サバ=鯖で若狭の特産品、酔っぱらい鯖、鯖街道もあります。結果的に地元をアピールできる商品名となりました」
現在、数年前からのコロナ禍で、家飲み(宅飲み)需要と共にBENICHUファンは急増しています。
BENICHUボトルの裏面には、紅映梅の美味しさの秘密などが詳しく説明・紹介されている
昨年9月発売のBENICHUハイボール。ビール感覚で飲める一方、お酒のプロであるバーテンダーからは、「ワイングラスに入れると、さらに香りがたっておいしい!」との高評価
世界のワインにも負けない、福井産の美味しいお酒を目指して。
昨年8月、BENICHUのパッケージが生まれ変わりました。今まで以上に“大人の梅酒”を意識したデザインで、海外市場への進出も始まりました。
「ワインと並べても違和感がないようなボトルに、色は紫外線から梅酒を守るため品質重視を考えて黒に、蓋は高級感を出せるコルク、ボトルにはロゴ刻印もあります。世界のワインにも引けを取らないアイテムになったと思います」
新パッケージとなったBENICHU。世界各地で愛されるワインのようなカッコいい黒ボトルが特徴
その結果、世界中の女性ワイン専門家が選ぶフェミナリーズ世界ワインコンクールでは、3年連続で入賞を果たしました(今年は若狭梅酒とBenichuハイボールがリキュール部門で金賞受賞)。今後ますますBENICHUが世界で知られるようになり、福井ブランドとしても知名度が上がっていきそうです。
「商品の企画は主に自社内で行っていますが、基本となるのはやはりお客様やソムリエ、バーテンダーなどの外からの声です。外からの声をヒントに自信ある味わいに仕上げて、目に留まってもらえるような、インパクトのある“お洒落カッコイイ”パッケージを考えます。また、昨年6月の「自家製梅シロップ&梅酒作り」では、参加された皆さんとの交流が勉強になりましたし、面白かったですね。今年も実施しますので、ご興味のある方はぜひご参加ください」
外からの声といえば、もう一つ。今年4月には敦賀市の老舗酒店からの依頼で、コーヒーリキュール開発にも協力するといった梅酒製造以外の新しい試みがありました。
新屋社長の目下の課題は、BENICHU製造後の果肉の活用法とのこと。近い将来、梅酒以外のあっと驚くような挑戦や新商品のニュースを聞くことができそうです。
この仕事に就くまでは、リキュールへの興味は低かったという新屋社長。しかし今では、「消費者目線の差別化した梅酒や、リキュールを作ることができるのが喜びであり、やりがいですね」とのこと
クエン酸たっぷりの「good job(グッジョブ)」やカシス梅ウォーターの「「good job α(グッジョブ アルファ)」、「BENIサイダー」は、ノンアルコールドリンクとして、幅広い年齢層に好評
株式会社エコファームみかた
代表取締役社長 新屋 明さん
若狭町出身。2002年に東京からUターンと同時に、第三セクターの(株)エコファームみかたに入社、梅酒製造販売担当となる。その後、多角事業から梅に特化した事業に集約した2012年、株主の町から指名され40歳で社長に就任し、梅酒・梅飲料メーカーとして本格的に注力している。
6月は梅の出荷真っ最中。エーデパでは、「梅酒キット」の予約販売、「紅映梅」の予約販売をスタート!
エーデパのリアルストアでは、6月23日(土)新屋社長をお迎えして、ワークショップを開催いたします!ぜひ、お近くの方はお越しください!