作家さんをたずねて「婚姻届工房KUKURI」若山大輔さん

婚姻届工房

代表 若山大輔さん

【越前和紙婚姻届】から生まれる楽しい思い出と深まる夫婦愛。



実は、婚姻届は色もイラストも入れてOK。
役所に提出する各種届出書は、良くも悪くもシンプルなもの。人生のおめでたい節目となる結婚や出産の届出書も同様、「見慣れているし、そういうもの」と思っている人が多いのではないでしょうか。しかし、婚姻届工房の若山大輔さんは違いました。
「結婚情報雑誌を見ていたら、ピンクの色やイラストが入っている婚姻届がありました。“色を変えたり、イラストを入れてもいいの?”と疑問に思い、法務局で確認。すると、戸籍法施行規則で定められている名前などを記入する欄以外は変更OKだったんです」
そもそも、若山さんが結婚情報雑誌を見ていた理由は、ご自身が営む行政書士という仕事にありました。6年ほど前のこと、巷で“婚前契約”という言葉が良く聞かれました。契約業務を行う行政書士にとっても気になるキーワードの一つ。そこで、若山さんは当時の結婚事情を調べようと、情報誌でリサーチしていました。
「色やイラストを入れてオリジナルの婚姻届を作り、販売したところ、反応は上々。もちろん、同じような婚姻届を販売している他社もありました。他社ではキャラクターとのコラボ企画もあり私もと思ったものの、キャラクター契約や使用料などのことを考えて見送りました。でも、やはり他とは違うことをしたいと考えていると、“越前和紙”が思い浮かんできました」

越前和紙の歴史と優れた品質は、結婚という“契約”にピッタリ。

和紙について再び法務局で確認すると、紙質は問わないとのこと。そこで、まずは既製品の越前和紙に色やイラストを印刷して【越前和紙婚姻届】として販売。その後、購入者自らが手漉きする和紙で作る婚姻届の商品化も実現しました。
「既製品の越前和紙は“大礼紙”と呼ばれるもので、昭和天皇が即位された時に行われた大礼の儀式にちなんで作られた越前和紙です。越前和紙はご存じの通り1500年以上も続く伝統的工芸品であり、丈夫で破れにくい優れモノ。“夫婦仲が末永く続きますように”を願う婚姻届に最適な用紙だと確信しました。手漉き和紙の婚姻届の購入者の中には、「プロポーズのサプライズで使いたい」という方もいらっしゃいました」
現在は、婚姻届だけでなく出生届も商品化されています。こちらも越前和紙にあやかって、「赤ちゃんが丈夫で健康に育ちますように」の願いが込められています。婚姻届に書かれてあるイラストは、県内在住のイラストレーター、ひらたゆうこさんによるもの。若山さん曰く、「かわいくてあたたかみのある雰囲気が気に入りました」とのこと。ちなみに当初、行政書士事務所内で行っていた婚姻届作りは、数年前に婚姻届工房として独立。法人設立も行政書士の仕事の一つとして、若山さん自身で手続きをしました。
“KUKURI”は同社のブランド名で、縁結びの神様でもある菊理媛命(くくりひめのみこと)からいただいたとのことです。

婚姻届をメインしたさまざまな企画を実現させたい。


6年前の企画・発売以降、オリジナルの婚姻届は雑誌やテレビなどにも取り上げられ、購入者も全国に及びます。結婚を控えた当人はもちろん、お祝いの品として贈られることもあるようです。
「今後、まずはデザインを増やしていきたいですね。また、他産地の和紙でもやってみたいです。例えば、兵庫県の名塩和紙。泥土を混ぜて漉くので、虫がつかない(虫害がない)と言われています。“虫がつかない”という部分が婚姻届にも通じると思います。また、例えば、パピルス館(※)でカップル自ら用紙を手漉きし、そのまま越前市周辺を観光する…そんな他にはない“思い出作りツアー”などもいいのではないかと思っています」
結婚を決めた二人が認める婚姻届。役所で用紙をもらい、記名、記入をするだけですぐに提出できますが、せっかくのお祝いごと。婚姻工房の婚姻届けは、人生の節目を、さらに嬉しく、楽しくしてくれます。


婚姻届は、「提出用」「保存用」「予備」の3枚1セット。「私がそうだったように、書き間違える方は多いと思うんです。だから予備は必要です!」と若山さん。

婚姻届けの紙の厚さは薄いものから、通常のもの<普通紙<越前和紙<手漉き越前和紙。「婚姻届は役所で20年間保存されます。かなり分厚くなる婚姻届でも問題ないかを市役所にも確認しました」


「戸籍法施行規則によれば、用紙サイズはA3もしくは菊判という決まりがあります」(若山さん)。菊判とは、現在のA列、B列の前に使われていた日本での用紙寸法の基準のこと。
手漉き和紙の場合は10枚くらい漉き、その中からベストな状態のものを3枚選ぶ。残った和紙は、披露宴で新婦が読み上げる感謝の手紙に使われることもあるとか。
「イラストレーターのひらたさんには、“良い感じでお願いします!”と一任。想像以上の素敵な仕上がりになりました」(若山さん)

若山大輔さん
鯖江市生まれ。県外大学を卒業後Uターン就職。自動車関連企業で営業職に従事する中で、自動車登録などに携わることが多くなり、「ならば勉強して資格を取ろう!」と、行政書士の資格を取得。その後、28歳で独立し、若山行政書士事務所の代表となる。プライベートでは二児の父親。「コロナ禍が明けたら、家族で旅行を楽しみたいですね」


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