越前和紙青年部会

 

越前和紙青年部会
 前会長 清水 聡さん
 現会長 三田村哲郎さん

 

【越前和紙ぬり絵巻】を青年部会活動の
アイコン的アイテムにしていきたい。

 

紙漉きではない別の体験で、
子ども達に越前和紙のことを伝えたい。

2021年5月中旬から当エードットデパートメントのサイトに新アイテムとして登場した【越前和紙ぬり絵巻】です。「和紙でぬり絵、絵巻?!」と驚かれた方もいらっしゃるでしょう。その誕生について、越前和紙青年部会の前会長 清水 聡さんと、現会長 三田村哲郎さんにお聞きしました。

「青年部会では毎年度会長が交代し、会長が掲げるテーマで活動をしていきます。昨年度のテーマは“makes people happy by WASHI(和紙で幸せを届けよう)”。これまでも越前和紙の魅力を発信、特に子ども達に知って欲しいと手漉き体験を数多く実施してきましたが、“別の何か”ができないかと。部会でいろいろとアイデアを出し合っていく中で、ふと“ぬり絵”という案が出てきました」(清水さん)

当初は、「越前和紙の物語絵本にしよう!」と想いは膨らみましたが、話し合いを重ねるうちにぬり絵で落ち着き、下絵については地元出身在住のイラストレーター 三木あいさんに依頼しました。

「三木さんの活動や活躍は知っていましたし、何より越前市出身で越前和紙のこともよくご存じということが、このぬり絵巻を制作していく上でとても大きかったです。依頼したら快諾してくださいました」(清水さん)

 

発売直後からSNSでも人気!
紙好きを感動させる価値ある一枚。

30cm×79cm、巻物にして直径4cm×30cm。ぬり絵の形状は決まったものの、絵のタッチや中身、レイアウトは未定。

「三木さんに、“1枚の和紙の中で、1500年続く越前和紙の産地の紹介をしたい!”と伝えて、あとはすべてお任せしました。ですが、きっと良いものが仕上がると思っていました」(清水)

コロナ禍の昨年12月に打ち合わせが始まり、グループLINEで進捗状況を確認しながら、今年4月初めに完成。完成品はぬり絵だけでなく、絵の説明と川上御前の物語が書かれた説明書も付いています。

「若い人に越前和紙の良さを知ってもらうには、まずその分母を増やすべき。絵ならば文字よりも伝わりやすいし、そこに物語(文字)があれば読んでもらえるし、読み聞かせもできる。親しみやすい良いモノができたと思いました」(三田村さん)

当初、5GW中に毎年開催される和紙の里まつりでの販売やワークショップを企画していましたが、コロナ禍で中止。同期間に開催されていた産地の有志が運営する越前和紙のオンラインマーケット「ワシマ」への出品を決めました。ぬり絵とはいえ、素材や形状、価格は既存品とは桁違い。実物を見られないWEB上での評価などが不安視されましたが、杞憂に終わりました。

「青年部会5名(5社)それぞれの和紙で出品したのですが、ほぼ完売! しかも価格が高い手漉き商品から売れていくのには、びっくりしました。」(清水さん)

「ワシマは紙好きの方や有名なデザイナーさんなど多くの方がチェックしていて、ぬり絵をSNSで発信してくださり、注目度も上がったのだと思います」(三田村さん)

 

 

産地として、後継者として
“持続可能”を実現していく。

今年6月から会長に就任した三田村さんのテーマは、“持続可能”。時流であるSDGsも意識しています。

「“持続可能”には2つの意味があります。越前和紙を次世代に知ってもらい、伝えていくこと、そして私たち自身、産地全体を継続していくこと。それらを実現するためには何をするべきかを考え、実践・実行していきたいですね」(三田村さん)

青年部会の活動としては、技術継承を目的とした手漉き和紙カレンダー制作やイベントでのワークショップなどがあります。産地としては後継者不足も課題の一つで、後継者育成のためにも次世代への周知(ワークショップなど)は大切な活動です。イベントが相次いで中止となった昨年と今年を経験した三田村さんが、テーマに込める想いを続けます。

「イベントが無くても私たちの活動がわかるような看板、アイコン的なモノが必要だと思います。それが【越前和紙ぬり絵巻】かもしれません。今年5月の販売からまだ数カ月。これからどうなるのか、どう評価されていくのかもわかりません。だからまずはアイコン的アイテム第一弾として広く普及させ、“継続”させていきたい! 普及を実感できたら第二弾、第三弾と続けられれば…」(三田村さん)

ここだけの和紙の大きなぬり絵。和紙の質感を感じる、絵をぬる、物語を語る、色付けされた絵を飾る、それを見ながらまた越前和紙のことを語る、感じる…。一枚で何度でも楽しめ、毎回異なった感じ方ができるのかもしれません。そして、丈夫で色褪せない越前和紙だからこそ、そのぬり絵はそのまま後世に伝えられていくはずです。

 

626日(土)、27(日)のラブリーパートナー『エルパ』でのイベントでは、ぬり絵関連のワークショップ(26日のみ)を予定しています。

 

 

清水紙工3代目の清水 聡さん。高校卒業後、大学進学で上京。紙加工企業で就職し5年間勤務、27歳でUターンして家業を継承。現在、取締役。

 

 

越前製紙40代目の三田村哲郎さん。地元大学を卒業し、家業を継承。「子どもの頃から家業の手伝いをしていて、自然な流れで仕事を継ぎました」

 

 

地元で生まれ育った二人は、同じ保育園に通った幼馴染み。「青年部引退となる40歳まであと56年。青年部としてできる限り頑張らないとね!」

 

 

越前和紙の歴史とともに歩んできた三田村さん宅の日本庭園。国指定名勝に指定されていて見学も可能。(見学希望時は3日前までに連絡/0778-42-0017

 

 

青年部会恒例の手漉き和紙のカレンダー作り(8月頃に制作)。「技術継承が目的ですが、新技術や新素材なども取り入れています。昨年は和紙の加工技術を取り入れました」(清水さん)。カレンダーは主に“里の人”(産地の和紙業者)に配布される。

 

 

今年のGW中に実施された、地元子ども達とのコラボイベント「光る、こいのぼり」。こいのぼりの下絵を描いた和紙に蛍光ペンで自由に色付け。それを紙コップに貼ってワイヤーに吊るして、こいのぼりに見立てた。

 

青年部会のメンバー。越前和紙の産地を盛り上げるべく、それぞれの個性を生かしたアイデアを持ち寄りながら話し合いを進めている。

 

30cm×79cmの大きな【越前和紙ぬり絵巻】。この1枚の中に、越前和紙の祖 川上御前をはじめ、歴史や原料、紙漉きの様子、お神輿、お祭りなど、さまざまな要素が盛り込まれている。和紙は青年部会5名それぞれが手掛ける自社製品(手漉き、機械抄き)を提供。色鉛筆やクレヨン、絵具など、それぞれの和紙に適した画材情報も参考に。

 

 

越前和紙青年部会

1500年以上もの歴史を誇る越前和紙。その伝統継承と魅力PRを担う福井県和紙工業協同組合の下部組織として青年部会がある。会員条件は、越前和紙生産に携わる40歳以下の人。現在の部会員は5名(以下参照)。主な活動は、手漉きりの和紙カレンダー制作、イベントでのワークショップなど。

越前和紙青年部会/三田村哲郎さん(越前製紙工場)、山口真史さん(山伝製紙)、清水 聡さん(清水紙工)、長田 泉さん(長田製紙所)、柳瀬 翔さん(やなせ和紙)


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