KISSO(株式会社キッソオ)代表取締役 吉川精一さん
アセテートのアクセサリーという
付加価値のあるモノづくりで、
眼鏡の産地(鯖江)を盛り上げたい
KISSO(株式会社キッソオ) 代表取締役 吉川精一さん
アセテートを貼り合わせる技術で、
オリジナルカラーを生み出す。
KISSOといえば、眼鏡材料であるアセテートを使ったSabae mimikaki(鯖江 耳かき)が有名な人気ブランドです。その始まりは、吉川精一社長の「付加価値のあるモノづくりで、眼鏡の産地(鯖江)を盛り上げたい」という熱い想いからでした。
「弊社はもともと眼鏡材料の商社とあって、モノ作りはまったくの初心者でした。最初にペーパーナイフを作ってはみたものの価格や販路などの課題が残り、思うようにいきませんでした。でもその後、ルーペやリングを作り、ギフトショー出展、大学とのコラボでマーケティングを模索。百貨店でポップアップショップ出店など、試行錯誤を繰り返してきました。そんな時、Sabae mimikakiをデザイン・プロデュースしたCEMENTPRODUCEDESIGNと出合い、同時にリングなどのアクセサリーも注目されるようになったのです」
様々なアクセサリーはどれもカラフルで、かわいらしさの中に上品さも併せ持つものばかり。
「アセテートの板を何枚も貼り合わせて独特の色合いを作り、それをさらに削り出して、“世界にひとつ”のアイテムを生み出していく。この貼り合わせの技術が、弊社の特徴であり強みです。特にイタリア産のアセテートは綺麗で透明感のある色が多く、それを組み合わせることでさらに美しい仕上がりになる。アクセサリーにはぴったりの素材です」
女性デザイナーの参加で、
今まで以上にワクワクするデザインに。
2009年頃から始まったアクセサリー作りですが、当初携わっていたのは男性社員のみ。吉川さん曰く、「おっさんばかり」だったとか。しかしアセテートの特徴をフルに生かし、自社技術を駆使しながら、雑貨などのアイテム数も少しずつ増加。2018年に女性デザイナーを採用することで今まで以上に素敵なデザインやカラーのアイテムが揃い、KISSOオリジナルが確立されてきました。
「デザイナーは、ボタンなどの服飾資材のデザインにも携わっていて、プロダクトだけでなくファッションやショップなど、トータル的に考えてくれます。こちらの意向を伝え、話し合いながら今までにないデザインが生まれ、ワクワクするようなアイテムが作り出されています」
数あるアイテムの中で人気が高いのはリングやブレスレットです。アセテートを何枚も貼り合わせ、切り、角を削り、艶を出し、曲げていく。切る段階で同じ色合いのものは一つとしてありません。シンプルな工程ながらすべてに時間をかけ、職人が一つひとつ丁寧に仕上げる、まさに“世界にひとつ”のアイテムなのです。
「様々な色合いがあるので、いくつか購入される方もいらっしゃいます。その日の気分やファッションによってアクセサリーを変える楽しさを体感してほしいです」
コラボを通じて新色にもチャレンジ。
アクセサリーの定番ブランドを確立。
アセテートの組み合わせは自由自在で無限大。いろいろなイメージに合わせた色合いを作ることもでき、アイデア次第で思いがけない色合いができることもあります。
それにアセテートは、やさしい肌ざわりも大きな特徴の一つ。植物由来の樹脂なので肌にやさしくアレルギーも少なく、直接肌につけても温かみを感じます。金属アレルギーに悩まされている方にとっては、お洒落の幅を広げてくれる頼もしい存在です。
「弊社は総合商社なので幅広く取り組めますし、アクセサリー同様、何にでも挑戦していきたいと考えています。これからもどんどん新色を出し、組み合わせをいろいろ試してみて、新アイテムも作っていきたい。KISSOのアクセサリーを“流行”ではなく“定番”に! そのためにも今後、多方面に発信していくつもりです」
地元イベントのメガネフェスやRENEW(リニュー)への参加はじめ、最近ではコロナ禍で来店できないお客様に向けたインスタライブ、オンライン展示会・商談会も実施。今年11月には本社敷地内にリアルショップもオープン予定です。
アセテート独特の色合いに上品なデザイン、そしてやさしい肌ざわり。身に着けるたびに気持ちがワクワク高揚するアクセサリーは、日々の暮らしをより楽しく、豊かにしてくれるでしょう。
ズラリと並べられたアクセサリーや雑貨の数々。ビビットなものからパステル、柄モノまで、とにかくカラフルな色合いは、見ているだけでも楽しい気分に。
「数年前、“日本の工芸を元気にする”を実現する中川政七商店さんとの出会いあり、学びがあり、“日本一の女性向けのアクセサリーブランド”になろうと決めました」
吉川社長が手に持っているのが材料となるアセテート。いろいろな色のアセテートが貼り合わさっている。
眼鏡材料のことを知り尽くす職人、葵さん。ブレスレット用に切り出したアセテートの角を一本ずつ丁寧に削る様子。この後、機械に入れてさらに艶を出す。
様々なアセテートの生地が並ぶ。人気の模様は色違いも作られている。
イベントではワークショップも実施。「商社ですから見本用眼鏡(アセテート)も豊富。眼鏡に熱を加えてバングルを作るワークショップを通じて、眼鏡やアセテートのPRをしています」
KISSO(株式会社キッソオ) 代表取締役
吉川精一さん
鯖江市生まれ。1995年に眼鏡資材を扱う商社として先代(父)が創業、2015年に二代目社長に就任。社員時代、2009年に鯖江市新しいものづくりプロジェクト『鯖江ギフト組』に参加し、現在のアクセサリー開発の基礎を構築した。“日本一の女性向けアクセサリーブランド“になるべく、さらなる情報発信と販路拡大を目指している。