有限会社丸松茶舗 社長 𠮷村恵さん
福井のお茶の「おいしさ」を
多くの方に知ってほしいから、
先代の挑戦スタイルを継承していきたい。
「何事もやってみないと分からない!」の気持ちで始めたお茶屋さん。
お茶は、日々の暮らしの中にある、身近な存在です。ですが、今では“お茶=ペットボトル”で、茶葉を購入して急須で入れるという機会は以前より少なくなってきているのかもしれません。そんな中で90年以上、茶舗経営を続けているのが『丸松茶舗』です。香ばしくておいしい『豆入り番茶』をご存じの方も多いのではないでしょうか。
代表の𠮷村 恵さんも「私も数年前まではペットボトルのお茶派だったんですよ」と、意外な言葉が返ってきました。というのも𠮷村さんは5年前、ご主人と共に異業種から事業継承という形で『丸松茶舗』を引き継いだとのこと。
「前職はお茶とは関係のない美容系でした。でもせっかくのご縁。なかなか経験できることではないし、何事もやってみないとわからないし、挑戦してみよう!という気持ちでお引き受けしました。当然、最初は初めてのことばかりで大変で無休状態でしたし、ただただ“休みたい”(笑)。超多忙でしたが、ただ“やめたい”とは思わなかったですね」
引き継いだ当初はプリズム福井内にも店舗があり、なれない仕事に追われる日々だったとか。現在は、福井市内の店舗業務に従事、催事やイベントにも積極的に参加するようになったそうです。
イベント出店をきっかけにファン急増。海外への贈り物としても人気。
エードットデパートメントストアの同店の商品は、豆入り番茶の他に、『うめがねこんぶ茶』や『にゃんこんぶ茶』が人気です。かわいいパッケージに、お湯を注ぐとメガネやネコの形をした昆布が浮かび上がってくるおもしろさがあります。
「約2年前、『めがねフェス』への参加をきっかけに、おもしろくて楽しいお茶を作ろうと、“おみくじ茶”をヒントにうめがねこんぶ茶を思いつき、販売しました。その後、種類を増やしたいなぁと思っていた時にネコ雑貨のイベント出店が決まり、にゃんこんぶ茶ができました」
イベントでの評判は上々。購入者のSNS発信でトレンド入りし、ファンも一気に増えました。個包装なので、ちょっとした贈り物にも重宝されているようです。でも、どうしてイベントに参加するようになったのでしょうか。
「福井のお茶をもっと広めたかったんです。そこから新しい何かがつながっていくと思っていましたし、実際に今では商品が営業ツールにもなっています。イベントをきっかけに、商品が贈り物として海外の方に届くこともあると聞いて、嬉しいです」
店舗販売にとどまらず、新しいことに挑戦していく想いは事業を継承した時と同じ。でも、𠮷村さんはそこには先代の想いやベースもあると言います。
「先代社長も異業種から丸松茶舗を継ぎ、いろいろな挑戦をした方です。その挑戦の一つが、豆入り番茶を県外催事などで販売することです。挑戦するスタイルも、先代からの継承だと思っています」
お茶を通じたコミュニケーションの場をつくりたい、楽しみたい。
ペットボトルのお茶派だった𠮷村さんですが、今ではペットボトルを購入することはほとんどなくなったそうです。
「お茶屋さんになって、お茶の淹れ方を知って、お茶のおいしさを知りました。その実体験があるからこそ、お茶のおいしさを伝えたいし、飲む時間、空間、環境を作りたい。そのためにもいろんなことに挑戦していくつもりです」
気になる挑戦とは、自家焙煎やテイクアウト、カフェの運営など、誰もが気軽にお茶と触れ合える専門店を作ること。専門店だからいろいろなことが聞けるし、情報もある。そこで飲むこともできれば、リラックス&リフレッシュもできる。そこでお客同士のコミュニケーションも生まれそう。「お茶を通じて、多くの方々と関わっていきたいです!」という気持ちの具現化です。
自分で入れる一服のお茶は心をホッとさせ、緊張がほぐれ、ゆとりも生まれ、笑顔になっていきます。笑顔でいると元気や活力が出てきて、健康にもつながります。そう、一服のお茶でこんなにも好効果! 『丸松茶舗』のいろんなお茶を飲んでみて、好みの味を見つけるのも楽しそうです。
福井では言わずと知れた人気商品『豆入り番茶』。ほうじ茶と炒り立ての大豆のブレンドで、飲みやすくて香ばしいのが特徴です。とある雑誌のお茶の飲み比べで見事1位になったこともあります。また、『福井県産コシヒカリのかりがね玄米茶』は、米どころ福井らしい商品です。
代表商品でエーデパでも一番人気の『豆入り番茶』。福井県産の大豆を使用、大豆の甘みとほうじ茶のこうばしさが感じられます。右はお手軽なティーパックタイプ。
にゃんこのイラストがかわいい、『豆入り番茶(ほうじ仕上げ)』『豆入り番茶(緑茶仕上げ)』『越前そば茶』『かりがね玄米茶』は、ティーパック5個入り。いろんな味を手軽に楽しんでほしいと作られたそう。
贈り物にも人気という『茶缶入り豆入り番茶』。茶缶は写真のオリエンタル(3色)の他、ゆい(3色)、舞乙女(2色)があり
『うめがねこんぶ茶』や『にゃんこんぶ茶』の包装はすべて手作業。「小さな昆布が折れないように、破れないように、丁寧に手詰めをしています」(𠮷村さん)
(プロフィール)
有限会社丸松茶舗
社長 𠮷村 恵さん
5年前、事業継承。それ以前は、エステティックサロンのスタッフとして美容業に従事。先代の奥様やお茶の業界の方々から、お茶の知識や情報を学びつつ、相談しつつ、夫ともに経営を軌道にのせるべく努力を継続中。「以前の私なら専門店は入りにくいなぁと感じていたので、今は経営者としてそう感じない気軽な雰囲気のお店づくりを目指したいです」