染め花Roses 川森加奈さん

思いがけない色が生まれる草木染めの魅力を
布花を通じて多くの人に知ってもらえるように。

 

幼い頃の布花の記憶を頼りに、37歳、独学で制作をスタート。

心がホッとするアースカラーの小さな花々で作られたブローチやコサージュ。それらはすべて、川森加奈さんが手掛ける草木染め作られる「布花(ぬのはな)」と呼ばれるアートフラワーです。

幼い頃から、祖母や叔母の布花作りを見てきました。楽しそう、私もやりたいなぁ…。私ならこんな風にするのになど想像を膨らませていましたが、口に出すことはありませんでした。それに祖母も叔母も幼い私に一切、らせませんでしたね」


それでも、布花のかわいらしさや作ることの面白さ、楽しさは、幼い川森さんの心にしっかり刻まれていました大学では布花の大切な工程である染色を学び、その後は布花には欠かせない生地、繊維会社に就職その後、結婚や引越、バリスタ百貨店勤務と仕事や生活環境の変化あったものの、37歳独学ながら布花作りをスタートさせました

「幼少期に見たのを思い出しながら、独学始めました当初、叔母に作り方を聞いたこともありましたが、“やり方は個々に違うから、好きなようにしたらいい”と言われて。それ以来、いろいろと試しながら楽しんで作っています

 

思い通りにならないことが多いから、草木染めはおもしろい。

川森さんの布花の特徴は、国内でも数少ない草木染です。地味目ながら、やさしさを感じる色合いはすべて自然の植物から賜物です。

「草木染め独特のくすみや、やわらか好きで、今はいろいろな植物で染めています。想像通りになることもあれば、意外な色、空想的な色になったり…。同じ植物で染める時期で色が変わることもあったりして。思い通りならないところが草木染めの魅力です


使用する植物は、桐やビワ、ブルーベリー、蕗、柿、菜の花、梅、水仙、野草と実に多彩です。自宅の庭にある草木はもちろんですが、福井は自然がいっぱい所用で外出していても、草木染めに使えそうな植物や樹木がないかなぁと、思わず探してしまうことも多いとか。

鍋いっぱいに植物を入れて火にかけ、染液を作ります。時間や温度に注意しながら染め、器を変えて媒染液に浸します。媒染とは染色の過程で染料を繊維に定着させる工程です。

前もって、タンニン下地(タンニンで染めた後一週間天日干し)をしたり、染めと媒染を繰り返し、濃い色に染めたり、媒染方法を変えたりして濃淡、さまざまな色を作っています。


学生時代の染色の学びが生かされることもあるようです。

そしてもう一つ。草木染めに欠かせないのが生地です。生地の種類によって色の出方や表情が変わるのも魅力の一つです。


「木綿や絹、ベロアなど、いろいろな生地を使いますが、草木染めは木綿を染められるかどうかで技量が問われます。というのも、木綿は染まりにくい生地。だからこそ、しっかりと染められることが重要なんです」

 



布花やつまみ細工を普段使いしてほしい。そのためにも、質や技術のレベルアップを。

さまざまな色の染められた生地を、布花用にいろいろな形に切り揃え、それらを組み合わせ、コテを駆使しながら布花が作られていきます。川森さんは布花のデザインと色(布)、どちらを先に考えているのでしょうか?

色が先です。染め上がった色を見て、何を作ろかなぁと考えている時間が好きですね。それに、パーツの形を考えたり、その形に切り揃えていく作業も好き。色やパーツを見ながら、作るモノをイメージしているのが楽しいんですね」


さまざまな色、パーツの生地を組み合わせ、細かな作業を経て出来上がる布花。もう一つ、細かな工程を経て出来上がるのがつまみ細工です。こちらも、川森さんが手掛ける作品として人気を集め、ワークショップや出張指導も行っています。


今後の夢は、いまの状況が落ち着いたら県外イベントに出展して多くの作品を見たり、声を聞いて、技術や作品のクオリティをレベルアップさせていくこと。草木染めも、いろんな植物を染めてみたいですね。そして、もっと多くの方に私の布花やつまみ細工の魅力を知っていただきたいし、普段使いして欲しい。“作ってみたい!”という方も増えるとうれしいですね。そのためにも、私自身“初心忘るべからず”、もっと経験、挑戦、勉強をしないと!と思っています



幼い頃に見た布花への想いそのままに、川森さんはこれからもやさしさに溢れた草木染めの花々を咲かせてくれることでしょう。

 

 

川森家の飼い猫、Roseくん。「染め花Rose」も愛猫から命名された。

 

「自分が身に着けてみたいなぁと思うものを作っています」と川森さん。女性だけでなく、男性の方が洋服や帽子、バッグなどに付けてもお洒落。




草木染めの見本。同じ植物でも、染める生地によって色合いも表情変わる。

 

布花に使うさまざまなパーツはとても小さく、1枚ずつハサミで切り分ける。それらがいくつも組み合わさって、魅力的な布花となる。

 


コテ当て作業の様子。花びら型の布にコテを押し当て、丸みをつけることで、花びらの表情になる。

 

 

「草木染めは違う色を組み合わせても違和感がないですが、化学染料同士はめ幅が様々で他の布花との組み合わせが難しいです」と川森さん。

 

繊維王国 福井で織られた繊維を使うことも多いつまみ細工。布を摘まみ、それらを組み合わせることで華やかな雰囲気のアイテムになる。和装の髪飾りとしても人気

 

インド茜染めている最中。媒染方法や回数生地によって色の濃淡も変わる。作業は、自宅キッチンで行っています。鍋に蓋がしてあると、“今日のおかず?”と家族が蓋を開けて落胆させることもしばしば…申し訳ないなぁと(笑)」

 

 

染め花Roses
川森加奈さん

越前市生まれ。高校を卒業後、京都の短期大学で染色、織り(繊維)技術を学び、卒業後は京都の繊維関連企業に勤務。その後、結婚を機に退社。引越が数回あり、その間、バリスタや百貨店での接客を経験する。37歳でUターンし、アルバイトのかたわら布花制作に取り組むようになる。5年前よりイベント出展を始め、ファンも増加中。現在は出張教室も実施中。

 

《Pick UP♪》


草木染め リースブローチ

¥6,900
川森さんが取材中に付けていたブローチはコチラ



草木染め布花マスクチャーム

¥1,200
マスクのゴムにつけていただくと、アクセントになってまるでイヤリングをつけているかのようにユラユラ揺れます。

 

 

手染めのつまみ細工

¥3,600
一つのつまみ細工に140枚以上の小さな正方形のうす絹を折りたたんで作っています。
クリップとピンが付いているので髪飾りやブローチとしてお使いいただけます



エードットカンパニー