生活の一部になってこそ生き続ける〜越前和紙の匠〜

生活の一部になってこそ生き続ける〜越前和紙の匠〜

読む 生活の一部になってこそ生き続ける〜越前和紙の匠〜 1 分 美浜町から口福を届けたい〜若狭美味しいものの匠〜

こんにちは!!

越前和紙工房、五十嵐製紙の五十嵐匡美です。どうぞよろしくお願いいたします。読み物ということで、何を書けばいいのかどんな想いをお伝えすればいいのか考えました。うまく書けなかったかもしれませんが、どうぞ読んでいただければ幸いです。

突然ですが、皆様は越前和紙と聞いてどんな事を思い浮かべますか?高級・聞いたことはあるけど触ったことはないわ。とかですかね?

私は紙漉き職人になって31年が経とうとしています。22歳で福井にUターンしてきて早31年・・・。月日が流れるのは早いですね。この31年間、紙漉きをしているとよくこんな風に聞かれることがあります。「伝統工芸の仕事って大変でしょう?」「なくならないように守る仕事って大変ですよね?」




たしかに、簡単な仕事ではありません。原料を育て、季節と向き合い、手間を惜しまずにひたす紙漉きをする。効率を考えるともっと楽な方法はいくらでもあるはずです・・。

でも私自身は「守るために紙を漉いている。」という感覚はあまりありません。

和紙は、生活の一部になってこそ意味があります。誰かの暮らしや仕事の中で、ちゃんと役にたって初めて生き続ける。だから私たちの仕事は「続けること」そのものよりも、どう使ってもらうか、どう感動してもらうかを考えることだと思っています。

そんな中、私は6年前に「Food Paper」というブランドを立ち上げました。これは廃棄されるはずのお野菜や果物を紙にすきこんでいるものなんですが、立ち上げるきっかけになった出来事が、和紙の原材料不足にあります。年々、生産農家さんの減少や異常気象の影響などを受け、原材料の収穫量が減少しています。危機を感じた私は「どうにかしたい!!」と考えていたら、ふっと私の息子の自由研究がありました。息子は小学4年生から5年間、夏休みの宿題の自由研究で身近な食べ物や植物から紙をつくる実験をしてきました。「もしかしたら、これが和紙の救世主になるかもしれない。」という思いからFood Paperを作りました。これは、農家さんやカット野菜工場などから廃棄されるお野菜や果物を頂いてきて紙にすきこんでいます。これを漉くことで、ごみを減らせるし不足している原料の使用量を減らせています。

また、今までのお客様の年齢層も若くなりました。Food Paperを若い世代の方々にご購入いただけるようになりました。Food Paperのおかげで、和紙に興味をもってくださる方の層もずいぶん広がりました。「和紙ってこんな使い方もできるですね」と言われるたびに心が温かくなります。





だから、私たちが大切にしていることは「これは無理です」と言わないことです。お客様の問いかけに「どうしたらできるか?」を一緒に考えることにしています。試して、失敗して、また一歩前にすすんで少しづつ形にしていきます。その積み重ねが結果として、和紙の可能性を広げ、伝統を次の世代につないでいくのだと思っております。

伝統は、過去から受け取ったものですが、ステップアップして未来に繋げるものだと思います。その積み重ねが結果として和紙の可能性をどんどん広げていきます。

1500年間脈々と受け継がれてきた越前和紙を次の1500年にむけてほんの数十年でも少しづつ和紙の魅力を伝え広げることが私の使命と思って今日もひたすらに紙漉きをしています。次の世代に繋げるために。

皆様の大切なお時間を私の読み物にくださりありがとうございました。ほんの少しのお時間でも皆様と共有できたこと大変うれしく思っております。

どうぞ、越前和紙のことを少しでも関心をもって、少しでも好きになっていただけると幸いです。ありがとうございました。

今回の匠は。。。



五十嵐匡美さん

1995年 五十嵐製紙 入社
2015年 伝統工芸士認定

1973年越前市に生まれる。1995年五十嵐製紙にUターン、2015年伝統工芸士認定。伝統工芸越前和紙を世に伝える為、様々な活動をしている。普段は襖紙を漉いているが、近年海外のアーティスト用和紙も好評を得ている。2020年廃棄されるはずの野菜や果物を漉きこんだ和紙Food Paperを発表。

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Food paper-野菜や果物からできた角丸トレイ ぶどう


Food paper -野菜や果物からできた楕円トレイ いちご

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