色彩が語る北陸の美。九谷焼という芸術

色彩が語る北陸の美。九谷焼という芸術

福井・若狭が誇る幻の梅「紅映梅」と梅仕事の楽しみ 読む 色彩が語る北陸の美。九谷焼という芸術 1 分

みなさま、こんにちは。

福井県を中心とした北陸の手仕事をお届けするa.department storeですが、今回ご紹介したいのは、お隣・石川県が誇る伝統工芸「九谷焼」です。

北陸には、その土地ならではの風土や文化に育まれた美しい手仕事が数多くあります。越前漆器や越前和紙、若狭塗箸など福井の工芸もそのひとつですが、石川県を代表する工芸品として欠かせないのが九谷焼です。

九谷焼の魅力は、なんといってもその華やかな色彩と大胆な絵付け。器でありながら、一枚の絵画を眺めているかのような存在感があります。

九谷焼の歴史は約360年前にさかのぼります。江戸時代初期、現在の石川県加賀市山中温泉近くの九谷村で始まったことから、その名が付けられました。

当時作られたものは「古九谷(こくたに)」と呼ばれています。深い緑や黄色、紫などを大胆に用いた色彩表現と、山水や花鳥を描いた力強い意匠は、今なお多くの美術愛好家を魅了しています。

しかし、その古九谷はわずか50年ほどで突然姿を消してしまいます。理由については諸説ありますが、現在でもはっきりとはわかっていません。

それから約100年後。加賀藩の支援を受けながら再び九谷焼づくりが始まり、職人たちは試行錯誤を重ねながら新たな九谷焼の世界を築いていきました。

長い年月の中で受け継がれ、磨かれ、発展してきた九谷焼。現代の私たちが手にする器には、そんな歴史の積み重ねが息づいています。

九谷焼を語る上で欠かせないのが、「五彩(ごさい)」と呼ばれる色彩です。

赤、黄、緑、紫、紺青(こんじょう)。

これらの鮮やかな色を用いて描かれる花鳥風月や吉祥文様は、見る人の心を明るくしてくれます。

日本の工芸には余白を美しく見せるものも多くありますが、九谷焼は少し趣が異なります。器の隅々まで絵柄で埋め尽くすような表現は「塗り埋める美」とも呼ばれ、豪華で力強い印象を与えます。

その独創的な美しさは海外でも高く評価され、「ジャパン・クタニ」として世界中のコレクターを魅了してきました。

また、九谷焼には古くから縁起の良い文様が多く描かれてきました。

繁栄や長寿への願いを込めた松竹梅や鶴亀、未来永劫続く幸せを表す青海波、富貴の象徴とされる牡丹など、一つひとつの絵柄に意味があります。

ただ美しいだけではなく、人々の願いや祈りが込められていることも、九谷焼が長く愛され続けてきた理由なのかもしれません。

そんな九谷焼の魅力を、もっと身近に楽しんでいただけるのが「九谷和グラス」です。

江戸硝子の繊細な透明感と、九谷焼の華やかな色絵。その二つの伝統工芸が出会うことで生まれた、美しさと実用性を兼ね備えたグラスです。

私自身、最近特に気に入っている逸品でもあります。

光を受けてきらめくグラスを持ち上げると、その足元には職人が一つひとつ丁寧に描いた九谷焼の台座があります。手描きならではの温もりや表情があり、同じものは二つとありません。



お酒を飲み終えたあとも、つい眺めていたくなるような美しさがあります。

これからの季節なら、冷酒や梅酒を注いで楽しむのがおすすめです。

冷えたグラスに注がれた透明なお酒、窓から入る夏の風、どこかで聞こえる風鈴の音。

そんな何気ない時間を、少しだけ特別なものにしてくれるのが、器の力なのだと思います。

また、九谷和グラスは贈り物としても人気があります。

華やかでありながら主張しすぎず、日常の中で実際に使っていただける実用性もあるため、お祝いのお返しや季節の贈り物、大切な方への感謝を伝える品としても選ばれています。

使うたびに職人の手仕事を感じ、ふと心が豊かになる。北陸には、長い歴史の中で受け継がれてきた素晴らしい手仕事が数多くあります。その土地の風土や人々の想いが宿るものを、これからもご紹介していきたいと思います。

ぜひこの機会に、色彩豊かな九谷焼の世界をお楽しみください。

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五十嵐郁子
1975年生。東京在住。エーデパディレクター。五十嵐羅紗店お姉(おあね)。福井県越前市生まれ。日本女子大学卒。大学生の2人の娘の母。東京福井県人会理事。福井市応援隊サポーター。
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