暮らしに咲く、越前和紙の花たち
― 私たちが越前和紙の花をお届けする理由 ―
こんにちは。
今回の読み物では、私たちa.department storeが、伝統工芸である越前和紙を使った花のアートをご紹介している理由についてお話ししたいと思います。
これまでにも何度かご紹介してきましたが、越前和紙は福井県越前市の大瀧・岡太地区を中心に受け継がれてきた伝統工芸です。日本で唯一、紙の神様を祀る大瀧・岡太神社を擁するこの地では、約1500年にわたり和紙づくりの技が守り継がれてきました。
その品質の高さは広く知られ、明治神宮のおみくじや、将棋の竜王戦で藤井聡太さんの対局を見守る「昇り竜」の壁紙にも使われています。また、越前和紙の技術のひとつである「越前鳥の子紙」はユネスコ無形文化遺産にも登録され、その価値は世界的にも認められています。
一方で、私たちの日常生活の中で越前和紙に触れる機会は、決して多くありません。美術館や神社仏閣、あるいは特別な書や工芸品として目にすることはあっても、毎日の暮らしの中で身近な存在とは言い難いかもしれません。
だからこそ私たちは、もっと自然なかたちで越前和紙の魅力を感じていただきたいと考えています。
産地には、その上質な和紙に新たな命を吹き込み、花として表現する作り手の方々がいます。一枚一枚の和紙を丁寧に重ね、花びらを形づくり、まるで本物の花のような美しさを生み出していく。その手仕事には、和紙づくりと同じく、長い時間をかけて培われた技術と想いが込められています。
a.department storeでは、和紙のアレンジメントをはじめ、ウェディングブーケ、榊、仏花、ディフューザーなど、さまざまな越前和紙の花の作品をご紹介してきました。
以前、ある伝統工芸士の方がこんなお話をしてくださいました。
「伝統工芸は、人々の暮らしに寄り添うものだからこそ、長く受け継がれてきたのです」と。
その言葉が、今も心に残っています。
伝統工芸というと、どこか特別で高価なものを想像するかもしれません。しかし本来は、日々の暮らしの中で使われ、人の気持ちを豊かにし、心をほどき、明日への活力を与えてくれるもの。
私たちがエーデパでご紹介しているのは、そんな暮らしに寄り添う上質な手仕事です。
さて、今年の春から、越前和紙の新たな表現として「ウォールアート」のご紹介を始めたことをご存じでしょうか。
最初に登場したのは、満開の桜を表現した作品でした。
繊細に作られた一枚一枚の花びらが枝を覆い、まるで春の風景をそのまま切り取ったかのような美しさ。おかげさまで大変ご好評をいただき、あっという間に完売となりました。
そして今、ご紹介しているのは紫陽花です。
雨に濡れた山あいにそっと咲く野の花のような佇まい。和紙ならではのやわらかな質感が、紫陽花の繊細な表情を美しく映し出しています。
季節の花を飾るように、壁に、玄関に、暮らしの一角に。
越前和紙の花たちが、日々の空間にそっと彩りを添え、皆さまの暮らしをゆたかにほどいてくれましたら幸いです。
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五十嵐郁子
1975年生。東京在住。エーデパディレクター。五十嵐羅紗店お姉(おあね)。福井県越前市生まれ。日本女子大学卒。大学生の2人の娘の母。東京福井県人会理事。福井市応援隊サポーター。
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