百年の鰻、次の一皿へ。 うなぎや源与門、伝統のその先にある挑戦

百年の鰻、次の一皿へ。 うなぎや源与門、伝統のその先にある挑戦

汐うにおにぎりから始まる、二百年の物語。 読む 百年の鰻、次の一皿へ。 うなぎや源与門、伝統のその先にある挑戦 1 分

昭和初期、若狭の豊穣な自然と福井の食文化が交差する三方五湖の地で、初代・小堀瀧蔵が「うなぎや源与門」を創業いたしました。瀧蔵は、三方五湖の豊かな食材と裏山の雲母山(きらやま)からの伏流水である雲母山水(きらさんすい)に着目し、本物の味を求めてうなぎや源与門の暖簾を掲げました。一串に命を吹き込み、炭火の起こしかたひとつ、タレの一滴にまで徹底的にこだわる——その妥協なき職人精神こそが、一世紀を超えて受け継がれる「うなぎや源与門」の不変の礎となっています。


それから百年。歴史の重みと伝統の技を受け継いだのが、四代目・小堀和広です。

私にとって鰻とは、単なる食材や高級な料理ではありません。命をいただくことへの畏敬の念であり、お越しくださるお客様の大切な時間を彩る特別な体験そのものです。ご注文を頂いてから活きた鰻を割き、蒸さずに炭火で丁寧に焼き上げる。初代より割き立て焼き立てをモットーとし、皮目はパリッと香ばしく、身はふっくらとジューシーに焼き上げます。初代から絶やすことなく継ぎ足された秘伝のタレを潜らせるたび、炭と鰻の脂の香ばしい芳香が立ち上り、熱々のまま、お客様に提供いたします。ご好評を頂いたリピーター、常連のお客様からの口コミで県内外から、多くのお客様にお越し頂き、近年では多数のインバウンドのお客様もご来店頂いております。




しかし、伝統を守り続ける道のりは決して平坦ではありません。近年のニホンウナギの資源減少や仕入れ価格の変動、さらには食習慣の多様化など、老舗を支える環境は日々変化しています。「この素晴らしい
三方五湖地域の鰻文化を、次の世代へいかに繋いでいくか」。昔ながらの伝統と新しい鰻の文化の融合ができないか?

 その苦悩のなかで生まれたのが、うなぎや源与門の新たな挑戦である「うなぎや源与門の黒カレー」です。


老舗のうなぎ屋がカレーをつくる——一見すると突飛に思えるかもしれません。しかしそこには、「鰻をもっと身近に、そして新しい形で楽しんでいただきたい」という強い思いがありました。調理の過程で出る鰻の貴重な兜(かぶと)を丁寧に挽き、同じ福井の老舗である安田蒲鉾の協力を得て、特製鰻団子として黒カレーの具に贅沢に使用。鰻の旨味やコク、炭火焼ならではの香ばしさを引き立てつつ、スパイスの香りと絶妙なバランスに仕立て上げた漆黒のカレールーは、源与門の歴史とこだわりが詰まった唯一無二の逸品です。店頭だけでなく、家庭の食卓やお土産としても「源与門の味」を届けたいという熱意が、この黒カレーを誕生させました。

初代・瀧蔵がこの地に命を吹き込んでから100年。時代がどれほど移り変わろうとも、私たちが守るべき根底の思いは変わりません。それは、食を通じて人々を笑顔にし、感動を届けることです。

これからの未来に向けて、私は源与門を単なる鰻屋にとどまらせず伝統の技術と味を極め続ける一方で、黒カレーをはじめとする新たな鰻の価値の創造、新商品にも果敢に挑戦していきます。地元の食文化を盛り上げる旗手として、そして全国、世界へと福井・若狭三方五湖の鰻の魅力を発信していく存在へ。

次の百年を見据え、四代目・小堀和広はこれからも鰻と真摯に向き合い、2代目・小堀源治郎の精神「沈着勇断」、落ち着いて慌てず、勇敢で思い切った決断・行動をする精神で暖簾を守り、3代目・小堀友廣から受け継いだ、若狭三方五湖地域に伝わる伝統の技術で邁進してまいります。


今回の贅沢なよみもの〜匠の想い〜は

うなぎや源与門
4代目 小堀和広さん


うなぎや源与門の黒カレー