汐うにおにぎりから始まる、二百年の物語。

汐うにおにぎりから始まる、二百年の物語。

海の砂から始まった、青への挑戦。 読む 汐うにおにぎりから始まる、二百年の物語。 1 分

子供の頃より雲丹屋の息子として育てられ、お弁当には必ず汐うにおにぎりが入っていました。
小学生の当時先生から、俺のおにぎりと交換しないかと言われ、丁重にお断りしたことを今でも覚えています。
今でも汐うにの1番おいしい食べ方はなんですか、と聞かれましたら、迷わず汐うにおにぎり、と答えます。
熱々のご飯を塩だけで握り、中に少し贅沢に親指の先程の量の汐うにを埋めると、熱でとろりととろけて、それを焼き海苔で巻いて食べると最高においしいです。
お酒も好きなため、酒の肴で汐うにをいただいた後に最後に締めとして汐うにおにぎりを食べると、本当に幸せな気持ちになります。

では、汐うにについてご説明させていただきたいと思います。

深い余韻を残す磯の香
凝縮を極めたウニ

汐うには、バフンウニの卵巣を殻から丁寧に取り出し塩をまぶして水分を抜き、まろやかに熟成させたもの。
何倍にも凝縮されるその味はウニの最上級と言われます。
まずは箸でほんのひとつまみ、わずかな量でも、その濃厚な旨みは口の中いっぱいに広がり、なめらかな舌触りと磯の香りの余韻をいつまでも楽しんでいただけます。
お酒とは至極相和す味わい。
ご飯にのせても大変美味です。

二百年を数える日本最古の雲丹商
求め続ける深い味わい

さかのぼること奈良時代福井には生ウニの保存方法として「泥うに」といわれるウニの加工品があり、朝廷に献上していたという木簡が残されています。
泥うには生ウニに塩をまぜたもの。
水分が多く、甕に入れられ柄杓で量り売りされていたと言われております。
江戸時代に、天たつ三代目が福井藩主の命を受けて
汐うにの製法である「塩蔵法」を考案。
越前海岸一帯にその製法を広めたことから「塩雲丹」「越前雲丹」とも呼ばれていました。
時代とともに、私ども天たつはその製法を守り、伝え、研鑽を重ね「越前仕立て 汐うに」と命名。
現在は全国各地からその時採れる最も上質な国産ウニを厳選し、熟成と旨みの相乗効果により他にはない深い味わいをつくりだしています。

100gの汐うにのために
100個以上のウニを使用

汐うにに使われるのは、ウニのなかでも濃厚な味わいが特徴のバフンウニ。
2〜3センチと小さなウニである上、水分を抜き、1個のウニが1gになるまで凝縮。
100gの汐うにをつくるためには、100個以上のバフンウニが必要になります。
漁獲量も少なく、漁期は夏のわずか1ヶ月間のみ。
海女たちはそのなかでも天気の良い日を選んで海に潜り自然の恵みに感謝しながら、その年のウニをいただきます。
 

つくり手に代々継承される
昔ながらの手仕事

汐うにの仕込みは二百年以上前から変わらない手仕事。
割った殻から卵巣を傷つけないよう取り出し箸の先で一つひとつ細かな不純物を取り除きます。
1日およそ1万粒。
気が遠くなるような作業を繰り返します。
塩をまぶしたウニを1粒ずつ箸で返しながらなじみ具合を見るのも大切な工程のひとつ。
時間とともに水分が抜け、旨みが凝縮することで、オレンジ色から朱色へと変化し艶めく宝石のように輝きを増していきます。
汐うにの製法は、次の世代、また次の世代へと継承されるのです。

熟成がもたらす
味の変化を見極める

私ども天たつには「ブレンダー」と呼ばれる者がおります。
ウニを採る浜が違えば、味わいが異なり、味わいが違えば、その塩梅も異なる汐うに。
甘み、旨み、渋み、苦み
各地の浜でつくられた汐うにの個性を見極め、およそ1〜3年、それぞれの汐うにに最も良い熟成期間を定め低温で寝かせます。
無限の味の組み合わせのなかから味の相乗効果による最も深い味わいのブレンドを決める大事な役割です

素材の力を最大限引き出す
混じり気のない本物の美味しさ

ウニは品質の劣化が早く、身崩れしやすいもの。
私ども天たつでは浜にあがったばかりの天然バフンウニをその場で加工します。
採れた浜で仕込むのはウニ本来の味を損なうことなく高い鮮度を保つため。
みょうばんやアルコールなどの添加物や保存料は一切使用せず、海の塩で濃縮し、浜風がもたらすほのかな磯の香りを加える。
そこに時だけが叶えられる熟成の旨みをのせることで、何にも勝る極上の味を生み出します。

今回の匠は。。。
天たつ 十一代目 天野 準一さんです!


天たつ 十一代目店主・代表取締役社長

天野 準一(あまの じゅんいち)さん

1980年、福井県生まれ。

文化元年(1804年)創業、二百年以上にわたり越前の雲丹を扱ってきた「天たつ」の十一代目店主。現在は株式会社天たつの代表取締役社長として、伝統の「越前仕立て 汐うに」をはじめとする雲丹・海産物加工品の製造販売に携わる。

幼い頃から「天たつの跡を継ぐもの」として育てられながら、大学卒業後はプロスノーボーダーを目指し、福井を離れて山にこもる生活を経験。競技中の大怪我をきっかけに家業と向き合い、天たつの後継者として歩み始める。

家業を継いでからは、二百年以上受け継がれてきた汐うにの伝統を守るだけでなく、現代の食文化に合わせた新たな商品開発や情報発信にも積極的に取り組む。

特に力を注いでいるのが、雲丹そのものの味わいを追求すること。各地のバフンウニを使い、浜ごとに異なる味わいを見極めながら、塩加減や熟成期間を調整し、最良の状態でブレンドするなど、伝統の製法を現代の知見と探究心で磨き続けている。

近年は、福井の食文化を県外、そして海外へ届けることにも力を注ぎ、2025年には日本橋三越本店への常設店を開設。同年にはアメリカへの汐うに販売も開始するなど、越前の食文化を世界へ伝える新たな挑戦を続けている。

「ただただ、喜んでいただける、美味しい雲丹を創り続ける。」

その言葉を胸に、先人から受け継いだ技と味を守りながら、次の時代へと越前の雲丹文化をつないでいる。


注文受付は8月中。十一代好のみ越前仕立て汐うに