500年の時を刻む 千古の家 ― 受け継がれてきた想いに触れて

500年の時を刻む 千古の家 ― 受け継がれてきた想いに触れて

秋を飾る、紅葉と竜胆。 読む 500年の時を刻む 千古の家 ― 受け継がれてきた想いに触れて 1 分

みなさま、こんにちは。

私たちエーデパでは、福井県をはじめとする北陸の地で、特別な空間、時間、そして体験を味わっていただく「格別の旅」を企画しています。

これまでの格別の旅にご参加くださった方もいらっしゃるかもしれません。私たち自身も、みなさまと一緒に初めての場所を訪れ、新しい発見や体験を共有できることを、いつも楽しみにしています。

毎回、次はどんな場所で、どんな時間をお届けしようかと頭を悩ませるのですが、今回ご紹介するのは、現在参加者を募集している「千古の家」を訪ねる旅です。

きっかけは、千古の家(坪川邸)の保存と維持に携わっていらっしゃる坪川さんから、東京で茅葺き屋根の立派なパンフレットをいただいたことでした。その一枚をきっかけに、私はこの家を実際に訪れてみたいと思うようになりました。

先月の大雨の影響で、千古の家へ向かう道が分断されていると伺い、少し細い山道を通りながら向かうことに。自然が織りなす風景を楽しみつつ、ゆっくりと車を走らせます。

千古の家で私たちを迎えてくださったのは、現在、この家を守り続けていらっしゃる坪川ますみさん。優しい笑顔で迎えてくださいました。

目の前に現れた千古の家は、想像していた以上に大きく、厚みのある茅葺き屋根が圧倒的な存在感を放っていました。

500年以上もの長い年月、この場所に建ち続けてきた家。その姿を目の前にすると、ただただ驚くばかりです。

鎌倉時代に建てられたと伝わるこの家は、雪深い北陸の山あいで、幾度もの冬を越えながら、今もその姿をとどめています。

「どうぞ、いらっしゃい」

そう声をかけていただき、家の中へ。

そこには、どこか懐かしさを感じる香りが漂っていました。どこかで嗅いだことのある香り。そう思いながらも、その正体が何なのか、このときはまだわかりませんでした。

坪川さんからは、この土地にまつわるさまざまなお話を伺いました。

源氏の隠れ里として始まったと伝えられる村のこと。庄屋としての役割を担ってきた家柄のこと。そして、何百年もの歴史を持つこの家を守り続けることが、決して容易ではなかったということ。

ますみさんは、この千古の家で生まれ育ち、大人になってからは東京へ移り、子育てをされました。そして、この家を守るために、再び故郷へ戻ってこられたそうです。

毎日、囲炉裏に火を焚べ、庭木の手入れをし、家の隅々まで丁寧に手をかける。

そうした日々を重ねながら、ますみさんはこの家を守り続けてこられました。

お話を伺ううちに、私はようやく、あの懐かしい香りの正体に気づきました。

それは、これからエーデパでみなさまにお届けすることになった、今庄の吊るし柿の香りでした。

今庄の吊るし柿は、囲炉裏の上につるし、煙で燻しながら乾燥させるという昔ながらの製法でつくられています。

長い年月、囲炉裏の煙に燻され、人々の暮らしとともに時を重ねてきた千古の家。その家に染み込んだ香りが、私の記憶の中にあった吊るし柿の香りと重なったのです。





よく見ると、家の隅々まで糠袋を使って丁寧に磨き上げられています。窓からは心地よい風がゆるやかに吹き抜け、家の中には穏やかな静けさが流れていました。

ますみさんのお話を聞くことで、それまで何気なく目にしていた風景が、少しずつ違った意味を持って見えてきます。

この家は、ただ古い建物として残されているのではありません。

ここで暮らした人々の営みがあり、日々手をかけ、守り続けてきた人がいる。その積み重ねが、今、私たちの目の前にある千古の家をつくっているのだと感じました。

「この千古の家を維持することは、容易なことではなかったけれど、嫌いなことではなかったのよ」

ますみさんがそうおっしゃったとき、私はその言葉が心に深く残りました。

そこには、長い年月にわたってこの家を受け継いできた人々の想いと、今もなお、この場所を大切に思うますみさんの気持ちが込められているように感じたからです。

歴史ある建物を残すということは、建物だけを守ることではないのかもしれません。

そこに流れてきた時間や、暮らしの知恵、そして人々の想いを受け継いでいくこと。

その難しさと尊さを、私は千古の家で感じることができました。

私が綴った言葉だけでは、みなさまに伝えきれないことが、まだまだたくさんあります。

だからこそ、この場所を実際に訪れていただきたい。

そんな想いから、今回の「格別の旅」を企画しました。

当日は、千古の家で過ごす時間に加え、同じく長い歴史の中で受け継がれてきた福井の伝統工芸、越前和紙を使った和綴じ体験をご用意しています。

そして、ますみさんが打つ手打ちのお蕎麦や、山菜を使った郷土料理を、囲炉裏を囲んで味わっていただきます。

受け継がれてきた家に身を置き、手仕事に触れ、この土地ならではの食をいただく。

写真や言葉だけでは伝わらないものを、五感で感じていただける時間になるのではないでしょうか。

何より、私自身が今からとても楽しみにしている格別の旅です。

11月21日には、美しい紅葉も楽しめるかもしれません。

500年の時を刻んできた千古の家で、受け継がれてきた人々の想いに触れながら、ゆっくりと流れる時間を味わってみませんか。

みなさまのご参加を、心よりお待ちしております。

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五十嵐郁子(いがらしいくこ)
1975年生。東京在住。エーデパディレクター。五十嵐羅紗店お姉(おあね)。福井県越前市生まれ。日本女子大学卒。大学生の2人の娘の母。東京福井県人会理事。福井市応援隊サポーター。神社検定取得。
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